木質バイオマス利用に役立つ忘備録です。これは!と思った情報を随時アップして参ります。

2014年5月4日日曜日

「ホワイトベース大槌」の薪ボイラーを見学しました

今回は趣向を変えて、岩手県大槌町にオープンしたばかりの宿泊施設「ホワイトベース大槌」に設置された薪ボイラーの様子をお伝えします。
このカラーリングが「ホワイトベース」の由来らしい、、、
東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた大槌町では宿泊施設が不足、復興工事の関係者は隣の釜石市や山田町から現場に通う状況であったため、大槌町の第3セクター「復興まちづくり大槌株式会社」が宿泊施設の建設を進めていたものです。

この施設の目玉は、なんといってもお風呂の給湯を、地元の「NPO法人 吉里吉里国」(芳賀正彦理事長)の運営による薪ボイラーでまかなっていることでしょう。

しかもこのボイラー(巴商会)は、震災直後に吉里吉里地区の避難所で使われた「薪ボイラー」の再利用なのです。薪ボイラーは震災の年2011年4月〜8月に避難所のお風呂供給に使われた後、NPO「吉里吉里国」が保管していました。

実は、ホワイトベース大槌の建設当初、薪ボイラーの計画はありませんでしたが、宿泊施設ができることを知った芳賀さんが、薪ボイラーの活用を申し出たことにより利用が実現したものです。
貯湯タンクは2トンの容量、1日にこのタンク2回分のお湯を供給する
入浴棟に隣接した薪ボイラー棟
温水の供給量を測定する流量計
この宿泊施設で吉里吉里国は、薪を供給するのではなく、お風呂のためのお湯を売る、言い換えれば熱を供給するスタイルの契約を取り交わしています。したがってボイラーは吉里吉里国が管理し、もちろん燃料には自分たちが準備した薪を使います。

薪風呂は残念ながら男風呂のみです(女性は個室のユニットバス利用)
お部屋は海の見えるビジネスホテル風です

芳賀さんは、「震災直後はガレキの木材から薪を作った。被災者を温めてくれたこのボイラーで、今度は復興のために大槌に来てくれる人たちの疲れを癖やしたい」と話しておられます。

震災に屈することなく、地域の森林資源を「薪」という形で活用し、地域で生きていく術を自ら切り開いていく芳賀さんたちの取り組みに敬意を表するものです。
また、伐採・搬出の技術や薪づくりの指導など、芳賀さんたちの取り組みを支援してくださった皆様に対し感謝申し上げる次第です。

芳賀さんたち吉里吉里国の取り組みは薪供給だけにとどまらず、岩手県林業事業主改善計画の認定を受けて林業の事業体として自立し、さらなるステップアップを目指して取り組みを進めておられます。

こうした芳賀さんたちの取り組みが評価されるとともに、例えば今後、吉里吉里海岸に海水浴や海遊びに利用できる日帰り入浴施設が建設されたとして、その温水供給が地域の薪や燃料チップでまかなわれるならば、森林資源とお金が循環する仕組みづくりに役立つと思うのですが、どうでしょう?

海の見えるステキな日帰り温泉で、ついでに「道の駅」や「薪の駅」を併設してしまうとか?流行ると思うんですけど、やりませんか大槌町長さん!

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