木質バイオマス利用に役立つ忘備録です。これは!と思った情報を随時アップして参ります。

2014年5月24日土曜日

灰とその取り扱いを考える(その1) 避けて通れないもの

あっぱれでしたねぇ、2014年5月21日の福井地方裁判所の判決。

■関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた21日の福井地裁の判決要旨
・原発の稼働は法的には電気を生み出す一手段である経済活動の自由に属し、憲法上は人格権の中核部分よりも劣位
・多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いという問題を並べて論じるような議論に加わり、議論の当否を判断すること自体、法的には許されない
・豊かな国土に国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失

樋口裁判長マジカッコイイ!原告の横断幕にもあったように、「司法は生きていた」のです。胸が熱くなりました。

ところが驚いたことに、判決を受けた菅義偉官房長官は再稼働を進めるという従来の政府方針について、「全く変わりません」と述べた。原子力規制委員会の田中俊一委員長も、「司法の判断について申し上げることはない。我々は我々の考え方で、科学技術的な知見に基づき審査していく」と語った。

政治家であろうがなかろうが、この判決を真摯に受け止める、というのが法治国家に暮らす人間の常識であろう。官房長官をしてこのように語らしめているもの、その背後にあるものは何か?それが官房長官の非人間性を醸成している。
官房長官もお子さんやお孫さんがいらっしゃるだろうに、彼らに対して、いったいどんな説明ができるのだろう。いっそ、お孫さんを原発のある町に引っ越しさせてみるがいい。

そもそも、昨年・一昨年と原発ゼロで夏を乗り切った実績、そして今年も乗りきれる公算なのである。また長期的に見ても今後、人口減少と産業の構造変化、あるいは省エネ推進が確実視される状況であって、さらに夏場のピークはFITで普及したソーラーが賄ってくれるのだから、これ以上、原発を稼働させる必然性など存在しないはずなのだ。
なのに、なぜここまでして原発を推進しなければならないのか?太陽電池を設置しても、その後の電力会社の接続に異常なまでの時間がかかるのはなぜか?電力会社が原発の資産価値をゼロにしたくないという、単にそれだけの理由ではないか?

原発再稼働に躍起になる前に、もっとやらなければならないことが山積している。

しかし、カネと政治の前に、私達はあまりに無力だ。おそらく、大口の電力需要者が「原発の電力は買わない」などとならない限り、この状況は変わらない。ということは、今は何も期待できない、ということになる。

啓発活動を粘り強く継続しつつも、私達は当面、自分にできることに粛々と取組んでいくしかないと考えます。

さて、前置きでほとんど終わってしまいましたが、今回から数回にわたって、木質バイオマス利用の課題のひとつである、残されたもの「灰」の取り扱いについて整理してみたいと思います。具体的には、

1 灰は廃棄物か?資源か?
2 灰に含まれる放射性物質
3 灰に含まれるその他物質(六価クロム等)

この問題、法律要件に関わる部分が多く解釈が難しいところもありますが、以前から整理の必要があると感じていました。また、灰の処理には、放射性物質の問題も深く関わって参りますが、理解しやすくするため、岩手県内の具体的な事例も引き合いに出しながら整理していく予定です。

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