木質バイオマス利用に役立つ忘備録です。これは!と思った情報を随時アップして参ります。

2014年3月30日日曜日

燃料チップの種類 切削チップその2

今回は移動式チッパーによる切削チップを整理していきます。同じ移動式でも、破砕チップについては次回に整理します。

移動式の切削チッパーには、自走式のものと、トラクターなどのPTO(Power take-off)を動力とするものがあります。動力源は異なりますが、製造できるチップに違いはありません。
もともとこれらチッパーの用途は、林地に堆積した雑多な木材を片付けることです。従って、前回お話した据置型のチッパーがフルイ(スクリーン)を備えているのに対し、移動式チッパーでスクリーンを備えたものはほとんどありません。そのため上の写真のように、長いままの樹皮や木片といった、いわゆる長尺チップの混入が避けられません。

チップボイラーの回でお話していきますが、これら長尺チップはボイラーのチップ搬送装置にからむ、あるいは詰まるなどトラブルの原因になります。これは、搬送装置の径の小さい小規模ボイラーほど顕著です。
そのため、林道脇に集積してある未利用材などを移動式チッパーで利用しようとしても、従来型の移動式チッパーでは難しいところがありました。

しかし、欧州のバイオマス先進地では、バイオマス利用向けの移動式チッパーが普及しているとのこと。そのチッパーを岩手県紫波町の農林公社さんが導入したので、さっそく見に行ってきました。


導入された機種はオーストリア製「STARCHL MK-50S」、これまでの移動式切削チッパーとの違いは、
1)多重構造のカッターを備え、長尺チップが発生しにくい構造
2)太すぎてチッパーに投入できない材を割るための油圧装置を備える
3)グラップルを備え一人で全ての作業ができる
といったところでしょうか。

据え置き式のチッパー施設一式と比べると、お値段もだいぶお安くなりますし場所もとりません。いざとなれば伐採現場での作業も可能です。とはいえ、ほとんどは施設内での利用とのことでしたので、トラクターのPTOではトラクターが使えずもったいないので、別な動力装置に代えたほうが良いと思いました。

また、製紙用のチップに比べると粒度がかなり小さいため、重量や密度については製紙用チップと異なる規格・基準が必要になるでしょう。

製造されたチップは、町内のラ・フランス温泉館のチップボイラーで利用されるほか、紫波中央駅前で展開されているオガールエリアでの地域熱供給に利用される模様です。
地域の未利用資源を活用する手段として、活躍が楽しみですね!


次回は破砕チップについて整理していきます。

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